「A part of the EARTH 」 A series 2009-2010

A series の作品はマーブリング技法を用いています。ヨーロッパやイスラムの国では古くから本の装飾等に使用され、現在もマーブリング職人が様々なマープリング紙を制作しています。そもそもマーブルとは「大理石」「小石模様」の意味があり、イスラム圏ではエブルと呼ばれ「雲」を示します。昔の人々はこの技法を利用し、自然が織りなす美しい模様を写し取ろうとしたのではないでしょうか。マーブリングは時代と共に形態を変えながら装飾性を強めていきましたが、私はその模様を作る過程や、もととなった大理石、鉱物に着目しつつ美術作品として高めようとしています。石の模様や積層には膨大な時間が積み重ねられ、その間におこる様々な自然現象や物質によって形態を変えながら、不純物をも取り込み留まる事なく変化し続けている。そんな気の遠くなるような時間の流れに思いを馳せた時、私たちの時間はほんの一瞬で儚いものですが、それでも、石ころのなかにある小さな粒子の様に、確かに存在し痕跡を残してゆくのです。